まぁ、古典というか名作なんだろうと思います。
この本を読んで、悟ったのは、
「ミステリーとは、最後まで動機が分からないものなのではあるまいか」
という事だ。
作者は親切な人で、物語の最後で、「読者への挑戦」ということで
ヒントを出してくれる。
そこで、確かに犯人は分かるだろう。
でも、分からないのは「動機」。なんで、犯人は殺人をしたのかねぇ?
って疑問が残る。

問題は、ここだ。最初は登場人物の誰にも「動機」が見つからない。
最後まで分からない。


この作品の場合、最後に「犯人の手記」が
探偵のところに送られてきて、「ああ、そういう動機だったのか」
と納得がいく。最初に動機が分かってしまっては、ミステリーに
ならない。

結局、殺人のトリックもさることながら、
読者が一番推理しなければならないのは「動機」なのである。
その意味では、最後の「犯人からの手記」は、
「最後まで隠していて、ごめんね」、
「最後まで隠さないと、作品自体が成り立たないのです」
という、作者からのメッセージに思えてならなかった。
うん。一番分からないのは人間の心。黙っていたら、他人には分かろうはずがない。